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目の健康に関する意識調査(2024)を実施しました

日本眼科啓発会議は、日本人の目の健康に対する意識、関心度、目の病気の知識度、不安などを把握するため「目の健康に関する意識調査(2024)」を2024年6月に実施しました。

また、「目の健康に関する意識調査(2021)」との比較も行っております。

以下に、調査結果の一部を抜粋して掲載します。

【調査方法】

調査手法:
インターネット調査
調査対象:
調査会社のモニターより抽出した40~89歳の男女
年代、性別、都道府県について、人口構成に準じてサンプル設計
対象者数:
有効回収数 12,491サンプル
実施時期:
2024年6月24日(月)~6月28日(金)
性別と年代の割合を示す円グラフ。左の円グラフは性別の割合を示し、男性49.1%、女性50.9%。右の円グラフは年代の割合を示し、40代27.2%、50代24.9%、60代23.7%、70代以上24.3%。

現在、健康面で不自由を感じていること

「現在、健康面で不自由を感じていること」は、歯や足腰などと比べて「目(視覚)」が最も高い。

現在、健康面で不自由を感じていることに関するアンケート結果の棒グラフ。回答は複数選択可能。項目別に不自由を感じる割合が示され、主な項目は次の通り。1位は「目(視覚)に関すること」42.5%、2位は「歯に関すること」36.9%、3位は「足腰(歩行や移動)に関すること」31.3%、4位は「皮膚に関すること」19.4%、5位は「物忘れに関すること」15.2%。「この中に当てはまるものはない」という回答も28.8%ある。全回答者数は12,491人。

50代は男女ともに「目(視覚)に不自由を感じている」割合が高い。特に50代女性は半数が不自由を感じている。

目(視覚)に関することで現在、健康面で不自由を感じている割合を示す棒グラフ(性・年代別)。男性40代は42.4%、50代は46.2%、60代は42.1%、70代以上は38.4%。女性40代は45.7%、50代は50%、60代は40%、70代以上は34.6%。全回答者数は12,491人。

普段から健康維持・病気予防に努めていること

目(視覚)に対して、「普段から健康維持に努めている」は2割と低く、歯や足腰と比べて、意識と行動のギャップが最も大きい。

『現在不自由を感じていること』と『普段から健康維持・病気予防に努めていること』の割合比較を示す棒グラフ。各項目について、現在不自由を感じている割合(濃い色)と、普段から健康維持に努めている割合(薄い色)が示されている。主な項目は、目(視覚)に関すること(不自由42.5%、予防22.8%)、歯に関すること(不自由36.9%、予防46.9%)、足腰(歩行や移動)に関すること(不自由31.3%、予防40.9%)など。この中に当てはまるものはないとの回答は、不自由28.8%、予防30.5%。全回答者数は12,491人。

男女とも70代以上で健康維持・病気予防の意識が高く、不自由さを感じている40代、50代は2割未満と低い。

『目(視覚)に関することで普段から健康維持に努めている割合』と『現在不自由を感じている割合』を性・年代別に示した棒グラフ。全体の割合は、不自由42.5%、健康維持22.8%。性・年代別では、男性40代が不自由42.4%、健康維持17.4%、男性50代が不自由46.2%、健康維持18.6%、男性60代が不自由42.1%、健康維持24.2%、男性70代以上が不自由38.4%、健康維持31.6%。女性40代が不自由45.7%、健康維持18.7%、女性50代が不自由50.0%、健康維持19.1%、女性60代が不自由40.0%、健康維持25.1%、女性70代以上が不自由34.6%、健康維持29.5%。全回答者数は12,491人。

目について気になっていること

「小さな文字が読みにくい」が最も多く(⇒ 老視)、「目が疲れやすい」が2位(⇒ 眼精疲労)。

目について気になっていることに関するアンケート結果の棒グラフ(複数回答)。主な項目と割合は、小さな文字が読みにくい(44.5%)、目が疲れやすい(35.8%)、視力が低下している(34.5%)、目がかすむ(28.1%)など。年齢・性別ごとの割合も表で示されており、特に有意水準5%で高い割合と低い割合が強調されている。総回答者数は12,491人。

緑内障の有病率と自覚症状の有無

緑内障と診断された人の割合(有病率)は、6.4%。日本人の一般的な有病率5%とほぼ同様であった。(参考:日本緑内障学会「緑内障疫学調査」)

緑内障と診断されたことがあるかを尋ねた円グラフ。89.6%が『ない』、6.4%が『ある』、4.0%が『わからない』と回答。全体の回答者数は10,007人。

緑内障と診断されたことがある人の6割弱が「診断時に何も問題は感じていなかった」と回答している。

診断時に自覚症状があったかを尋ねた棒グラフ。『何も問題は感じていなかった』が56.5%で最も多く、次いで『見えにくい部分が生じていた』が19.9%、『視力が低下していた』が18.8%。その他の回答は5.5%、『わからない』が4.5%、『答えたくない』が1.1%。回答者数は642人。

自覚症状がないのに受診した理由

緑内障と診断された時に自覚症状がなかった人に、検査を受けた理由を聞いたところ、「検診で指摘されたから」が5割で最も多く、「眼科受診中に眼科医に検査を勧められた」が3割であった。自らの意思で検査したのは5%程度にとどまる。

緑内障と診断された眼科を受診した理由に関する棒グラフ。最も多い回答は『検診(健康診断等)を受けて問題があると言われたから』で48.5%、次いで『眼科を受診中に診断を勧められたから』が34.4%。その他の回答には『家族に緑内障の人がいるので心配になったから』(7.4%)、『読書や運転の際から心配になったから』(4.3%)、『その他』(1.5%)、『わからない』(6.4%)、『答えたくない』(1.5%)。全回答者数は392人。

目の検査の受診率

目の検査の受診率は向上している。

目の検査を受けたことがあるかを示す棒グラフ(2021年と2024年の比較)。2024年の受診率は59.8%、2021年は56.2%。半年前以内に受けたことがある割合は2024年で31.5%、2021年で26.9%。全体の回答者数は2024年で12,491人、2021年で13,157人。

ただし、「何らかの症状がある人」の4割は3年以内に検査を受けていない。

『何らかの症状がある人』の目の検査受診率を示す棒グラフ(年齢・性別別)。全体では受診経験がある人が62.6%。年代別に見ると、男性70代以上が68.8%、女性70代以上が70.3%と高い割合を示している。半年前以内に受けたことがある割合は、男性40代が26.2%、女性70代以上が46.5%。回答者数は10,203人。

目の検査を受けた理由で最も多いのは「健康診断の中に含まれていた」で、4割弱。男性40~60代は5割を超えている。

目の検査を受けた理由に関するアンケート結果の棒グラフ。最も多い理由は『健康診断の中に含まれていた』で37.9%、次いで『視力が低下している』が15.4%。年齢・性別別の内訳も示され、有意水準5%で高い割合・低い割合が強調されている。回答者数は7,471人。

「かかりつけの眼科」の有無

「かかりつけの眼科」を持つ人は5割弱。男性より女性が、また年代が高くなるほど、かかりつけ眼科医を持つ割合も高い。一方、40代、50代は3割前後と低い。

かかりつけ医がいない層を分析すると「目の健康維持・病気予防に関心が低い」「必要な眼鏡・コンタクトレンズを使用していない」「緑内障に関する知識が少ない」という傾向があることがわかった。

かかりつけの眼科があるかを尋ねたアンケート結果の棒グラフ。『異常を感じたら受診する眼科がある』が25.5%、『定期的に受診する眼科がある』が25.2%、両方を合わせたかかりつけ眼科がある人の割合は49.8%、かかりつけ眼科がない人は50.2%。年齢・性別ごとの割合も示されており、特に男性40代が70.6%でかかりつけがない割合が高い。回答者数は12,491人。
都道府県別に見た、かかりつけの眼科の有無を示す棒グラフ。青いバーが『定期的に受診する眼科がある』割合、黄色いバーが『異常を感じたら受診する眼科がある』割合を示す。特に高知県では『異常を感じたら受診する眼科がある』が33.7%と高く、佐賀県では『定期的に受診する眼科がある』が15.4%と低い。都道府県ごとの詳細な割合が視覚化されている。

目の病気の認知度

男性よりも女性の方が認知度が高い。

聞いたことがある目の病気に関するアンケート結果の棒グラフ。最も多い回答は『老眼(老視)』で87.2%、次いで『近視』が86.2%、『白内障』が84.0%。年齢・性別別の割合も示されており、特に女性70代以上で老眼に関する認知度が91.2%と高い。有意水準5%での高低が強調されている。回答者数は12,491人。

緑内障の理解度は「視野が欠けていく」が最も高く63.9%。
前回より4ポイント増加した理由は、2023年度のACジャパンの広告効果などが考えられる。

緑内障について知っていることを尋ねたアンケート結果の棒グラフ(2021年と2024年の比較)。最も多い回答は『視野が欠けていく病気である』で、2024年は63.9%、2021年は59.7%。次いで『進行すると治療が難しくなる病気である』が2024年で44.7%。年ごとの割合の変化や有意水準5%での高低が強調されている。回答者数は2024年が10,070人、2021年が10,833人。

本調査結果からお伝えしたいこと

個人に向けて

40歳を超えたら、自分でできるアイフレイルチェックリストで年に一度は自己点検をしてください。不安があれば、アイフレイルアドバイスドクター(全国で944名 ※2024年10月時点/アイフレイル啓発公式サイトで紹介)または近隣の目のかかりつけ医に相談してください。自覚症状がなくても40歳を超えたら眼底検査を受けてください。

自治体や職場に向けて

視力検査だけでは目の病気は見つかりません。検診で眼底検査を実施してください。

調査結果ついて、詳しくはPDF版をご覧ください